「産業医がいつ必要なのかわからない」「産業医の探し方がわからない」このような疑問を持たれる担当者様は多いのではないのでしょうか。
私も実際相談されることがある内容で、法令遵守の観点から知っておくべき内容になります。この記事では産業医が必要なタイミングと探し方を解説します。
産業医が必要になるタイミングとは
産業医の選任が必要になるタイミングは以下のようになります。ただし、事業場の規模ごとに選任すべき人数と選任方法に留意しましょう。また、それぞれ必要になったタイミングから「14日以内」に選任しなければならないことが労働安全衛生規則にて定められています。法令遵守のためにも早めの産業医探しを推奨します。
- 常時50人以上の労働者を使用する事業場:嘱託産業医を1名以上選任
- 常時1000人以上の労働者を使用する事業場:専属産業医を1名以上選任
- 有害業務に常時500人以上の労働者を従事させる事業場:専属産業医を1名以上選任
- 常時3001人以上の労働者を使用する事業場:専属産業医を2名以上選任
法令には「嘱託産業医」と「専属産業医」の違いは明記されておりません。最も大きい違いは勤務する日数・時間の差でしょう。以下でそれぞれの特徴と違いを確認しましょう。
- 嘱託産業医
月1~数回、1回1~3時間程度の勤務になることが多いです。
事業場の規模や業種により必要な勤務時間が変わってくるため、それに応じて報酬が変動する形態が一般的になります。
毎月必須で行うものとしては職場巡視(約15~30分程度)、安全衛生委員会への参加(約30~60分程度)があります。
その他必要時に健康診断の就業判定と事後措置面談、衛生講話、長時間労働者や高ストレス者に対する面談、復職者面談を行います。
以前はクリニックや病院勤務の医師による兼務のパターンが多かったものの、近年はその専門性や需要の高まりから弊社のような産業医を専門とする医師が増えている傾向にあります。
- 専属産業医
週3~5日程度、1回3時間以上の勤務になることが多いです。
契約方法は定められていませんが、間接部門の常勤のような働き方になる勤務形態が一般的になります。業務内容としては嘱託産業医と同様のものがほとんどです。
事業場の規模が大きいことにより職場巡視する範囲が広い、安全衛生委員会の議題が多い、面談数が多いなどの理由から必要な時間が多くなります。
これから専属産業医が必要となる見込みの企業様は、必要な勤務日数・形態を管轄労働基準監督署にお問い合わせいただくことをおすすめします。
産業医の探し方とは
ここまでで産業医が必要なタイミングが把握できたかと思いますが、次に選任する産業医の探し方はどのようになるかを見ていきましょう。大きく分けて以下のような方法が考えられます。
地域の医師会や健診機関
普段健診を受けている機関や地元の医師会が産業医を紹介している場合があります。医師会であれば会員であるクリニックや病院の医師、健診機関は所属の医師が産業医業務を請け負うことになります。
- メリット
吟味する手間が省かれ、無料で紹介してもらうことができます。
- デメリット
クリニックや病院に勤務する医師が紹介される可能性が高く、産業医経験の少ない医師の場合があります。またすべての医師会や健診機関が産業医紹介の対応しているわけではないため、詳しくはそれぞれの機関にお問い合わせください。
産業医をすでに選任している会社に聞く
すでに産業医を選任している会社とのつながりで相談するのも一つの手段です。自社で選任している産業医に関する口コミを聞くことができ、余力があれば紹介してもらえる可能性があります。
- メリット
すでに実績のある良い産業医の具体的な口コミを聞くことができた上で選任できるため、選任後にズレが生じることが少ないです。
- デメリット
良い産業医を選任している会社に巡り合えない場合も多く確実性が低いです。また、その会社が後述の紹介会社を利用していた場合は同じ産業医を選任できるとは限りません。人づてでの産業医選任はその交代が難しい可能性もあるため慎重に行いましょう。
産業医紹介会社
近年はニーズの高まりから産業医紹介サービスを行っている会社が存在します。会社によっては健診データを取り扱うアプリケーションや産業保健師、心理士などを利用できるオプションを用意しているところもあります。
- メリット
パッケージで法令遵守に必要な業務がまとまっており、産業医をマッチングさせてくれるため業務のすり合わせなどの手間を省くことができます。
- デメリット
追加で業務を行ってほしい場合に切り替えが難しかったり料金がかかる可能性があります。また直接産業医と連絡を取ることを禁じている場合も多いのでスムーズな情報伝達が阻害される可能性があります。
産業医個人事務所
各地域に弊社のような産業医個人事務所も存在します。対応できる件数が限られていたり知名度が低いため、たどり着くのが難しい可能性があります。
- メリット
産業医を専門としている医師により、ニーズを把握した上でそれに合わせた業務の提案を受けられます。法令遵守に必要なことはもちろん、健康施策の提案や体制の整え方など幅広く対応可能です。
- デメリット
一人しか所属しておらず対応可能な件数が限られることや、付帯可能なオプション(健康管理カルテや他医療職の派遣など)が少ない可能性があります。
産業医を選任した後は?
上記の方法で産業医を選任したら選任報告書を管轄の労働基準監督署に提出しなければなりません。
産業医選任報告書の様式はこちらからダウンロードすることができます。
同時に、以下の書類の提出が必要です。
・医師免許証のコピー
・産業医認定証のコピー
まとめ
産業医の必要なタイミングと探し方について解説しました。
この記事を見た企業担当者様が信頼できる産業医を選任できることを願っております。
弊社では一貫して選任サポートと産業医業務を提供しておりますので、千葉で産業医をお探しの方はお気軽にご相談ください。